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せつなくてやさしく、あたたかい『からくさ図書館来客簿 ~冥官・小野篁と優しい道なしたち~』感想

読書感想メモ 小説
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あらすじ

京都の一角に建つ私立図書館「からくさ図書館」
館長である優しげな青年と可憐な少女が二人で切り盛りしている。
二人の正体は冥府の官吏で、善行を積んでいるのに未練があり
天道(天国)に行けない霊を導くために現世に出向してきている。
青年の名は小野篁。史実に「昼は朝廷の役人、夜は冥府の官吏をしている」と記されたその人。
そんな二人の元に訪れる客は「道なし」に関わる奇妙な悩みを持っている。
篁は彼らに一つの本を差し出す。それは相談者にまつわるすべての出来事が記された不思議な書物。
古都でひっそりと綴られる生者と死者の物語。

※旧ブログから修正・加筆しております。

現代ファンタジー 図書館 小野篁 史実ネタ 死者を導く 

小野篁さんと聞くと『鬼灯の冷徹』や『篁破幻草子』の小野篁を思い出します。
それぞれ違う人物像が描かれていて作者や作品による歴史の人物の書き方の違いが面白いです。

少女の正体は二代目加茂斎王時子内親王。(ぐぐっても詳しいことがでてこなかったです)

「からくさ図書館」における小野篁

「からくさ図書館」の小野篁さんは端正な顔立ちをした優しい雰囲気の青年です。
でも中身は時子様いわく「変態」。

出会ってまもない女性の下着について言及したり、お客さんをからかったり女の子に冷たくされて喜んだり…とぼけたりするつまみどころのない人物。
わたしはあまり小野篁が描かれている作品を見たことがないのですが、今までにない描かれ方をしている…のかもしれません。

 

作中では季節の描写、京都特有の季節の訪れや建設物などの名前が度々出てきます。
風景の描写や色の表現の仕方が素敵です。

登場人物の半分は死者ですが、恐怖心を煽るものはなく、さっぱりしてます。
やさしくてあたたかで、どこか切ないお話。

一話一話が独立しているので、少しずつ読み始めても設定を忘れる心配がなくて安心です。
空き時間などにちょこちょこ読めます。

舞台である京都特有の職業や行事なども登場するので、勉強にもなります。

読み終わった後、やさしい気持ちになれる作品です。

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