『ロード・エルメロイII世の事件簿2 case.双貌塔イゼルマ(上)』感想

ロード・エルメロイII世の事件簿　2　「case．双貌塔イゼルマ（上）」 （角川文庫） [ 三田　誠 ]

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『ロード・エルメロイII世の事件簿2 case.双貌塔イゼルマ(上)』
作者：三田誠
イラスト:坂本みねぢ

あらすじ

「我が師に問う。——魔術における究極の美とは何か、と」

双貌塔イゼルマに住まう、双子の姫。
至高の美を持つとされる黄金姫・白銀姫のお披露目に、エルメロイII世の義妹であるライネス・エルメロイ・アーチゾルテも参加することとなった。
時計塔の社交会となれば派閥抗争もありえると、ボディガードとしてグレイを連れて行ったライネスだが、そこで起こった事件は彼女の想像をも超えていた。
三大貴族。
冠位(グランド)の魔術師。
ロード・エルメロイII世は、『時計塔』に巣くう闇をいかにひもとくか。

魔術と美、幻想と陰謀とが交錯する『ロード・エルメロイII世の事件簿』、第二幕開演。

今回の事件は、密室＆バラバラ殺人。

冒頭、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ視点からロード・エルメロイII世になる前のウェイバー・ベルベットとの出会いが語られます。
なぜ、彼がロード・エルメロイになったのか。一巻では語られなかった詳細な事情を知ることができます。

なんというか…ウェイバーくんほんと…頑張ってるんだね…（ほろり）
今回はライネスからの視点物語は進みます。

主要登場人物

ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ
とても良い性格をしたエルメロイⅡ世の義妹にして彼をその座に封じた少女。
時期ロード。

グレイ
Ⅱ世の内弟子。
今シリーズのアルトリア顔。
めっちゃ強い

ミック・グラジリエ
ライネスたちにとある取引を持ちかけてきた魔術師。

バイロン・バリュエレータ・イゼルマ
イゼルマの当主。
黄金姫、白銀姫の父親。

イノライ・バリュエレータ・アトロホルム
民主主義トランベリオ派、創造科（バリュエ）のロード。
女傑。蒼崎橙子の師匠。

蒼崎橙子
『空の境界』でお馴染みの冠位（グランド）の魔術師。
事件簿においては封印指定を解かれている。

黄金姫（ディアドラ・バリュエレータ・イゼルマ）
白銀姫（エステラ・バリュエレータ・イゼルマ）

至高の美の体現者

ロード・エルメロイⅡ世
現代魔術科のロード。
魔術の解体者（破壊者）

被虐趣味の極みライネス嬢とグレイたん

ライネスがすごくいい性格をしているのがよくわかります。
被虐趣味最高です。
年頃の少女らしいところもあってかわいい。
グレイとのコンビもまたよきかな。

今回はこの二人が事件に巻き込まれます。

あまり仲の良くない派閥からの社交界のお誘いにグレイ伴って出席することにしたライネス。
　
向かう先は、『最も美しい人をつくる』ことを目的とする一族の領域、双貌塔イゼルマ
魔術師がうじゃうじゃいる中での密室＆バラバラ殺人。

被害者は至上の美の片割れ、黄金姫。
彼女はパーティの夜にライネスの処属する派閥に亡命したいと申し出ていました。

その翌朝、バラバラ死体となって発見されてしまい、ライネスたちは容疑者にされてしまいます。
自らそれを晴らすために探偵役としてグレイを伴い事件の捜査に乗り出しますが…

今作のイゼルマには『空の境界』でおなじみの人形師、蒼崎橙子さんが登場します。
空の境界では封印指定（お前の才能認めてやるからホルマリン漬けにさせろ）されていて、時計塔からは隠れていたはずですが事件簿では封印指定が解除されている様子。

理由は上巻では明かされていません。

このあたり、空の境界と作品がつながっているのか。
両儀式や黒桐幹也と出会わないIFの話なのかにわかファンなのでよくわかりませぬ…

エルメロイ教室生徒のキャラ濃すぎ問題。

これまだfate本編が始まる前の時系列らしく、遠坂凛とルヴィアは在籍していないのですがこの中にあの二人が加わるのか。

ロード・エルメロイ二世に胃薬を贈呈したい。
胃の前に頭髪もやられそう…ほらイギリス人ってこう…（失礼）

教師は二流で生徒たちは一流。
魔術の解体が得意な講師に天才な弟子たち…そりゃ…警戒されますわ…

ロード・エルメロイⅡ世に再演は無理だとしても、彼を慕う生徒の中にはできそうな人間がうじゃうじゃいますし。
これからも増えていくのでしょうし。

今作では三つある派閥の事情とかエルメロイ教室が置かれた複雑な立場とか語られます。
魔術の世界もなんかそのあたりめんどくさいんですね。
権力闘争はどんな場所にもつきもののご様子。

今回も飛び出す魔術薀蓄。
頭がついていかない。
月と太陽、占星術に関わることはなんとなくわかりました。

魔術世界のやりとりとか裏事情とか

亡命を持ちかけられるわ、取引をもちかけられるわ、トリムマム（ライネスの疑似人格機能搭載の魔術礼装。何でも出来ちゃう万能水銀メイド）を取り上げられるわ、で万事休すか！
というとうところに颯爽とロード・エルメロイ二世の登場。

ヒロインと名高いのにヒーローしてますね。
無自覚に魔術師の地雷を踏みまくってますけど。
（神秘の秘匿を大事にする魔術師の魔術をこういうものなんですね。そいうやってるんですねと丁寧に解説解体してくれる先生の鏡）

エルメロイ教室の問題児最フラットとスヴィンも登場。
スヴィンに対するグレイたんの怯えようがかわいそうすぎる。
いろいろな意味で。

最後に登場したアトラム・ガリアスタ。
噛ませ犬の予感しかしない。

次回、蒼崎橙子さんが、敵に回るのやばい。
死亡フラグしか見えない。
二作目にしてここで終わるのか…